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人と環境にやさしい交通をめざす全国大会 in 東京報告 〜地域連携で動き出す、みんなの交通まちづくり〜 |
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文中の色文字をクリックすると関連サイトに飛びます。 カーシェアリングが地球を救う 環境保護としてのニュービジネス |
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去る12月5日、東京大学工学部にて「第4回 人と環境にやさしい交通をめざす全国大会 in 東京」が午前9時から午後5時半まで開催された。 今回は、宇都宮、京都、横浜に続いて4回目。 『環境や少子高齢化といった社会的課題を背景に、地域社会における快適な「人の移動」を担保する「人と環境にやさしい交通」の必要性が増してきています。「自動車中心」のまちづくりから子供から高齢者や障害者を含む誰もが快適に利用できる移動手段が存在する、「人中心」のまちづくりへ…今後の日本の地域社会の真の発展を目指すうえで、私たちは何を考え、何をすべきでしょうか? 』というテーマで全国の諸団体の研究発表、ワークショップ、フォーラムが行われた。 株式会社マツダ自転車工場などあまりなじみのない企業からも多数の協賛を得られたという。 午前中は各団体や企業の研究発表の場。「新たな技術を考える」「各地域の取組から」「最新海外事情」「交通政策の分析・提言」「環境・景観・交通まちづくり」「カーシェア・自転車・カーフリーデー」の6部会に別れ、発表と意見交換がなされた。 各団体の意見をまとめたA4版173頁の図解や写真付の論文集も発行され、2,000円の寄附により配布されている。 午後からは「人と環境にやさして交通を提供する企業の取組」のワークショップと「人と環境にやさして交通の実現をめざす地域の取組」(=右写真=)のフォーラムが行われた。 環境にやさしい交通手段である路面電車LRTについて、「お金をかける地下鉄には異論がでないが、安くできるLRTにはいろいろ異論がでてくる」「交通政策は小さなところでやっているので、人が育たない」「もがき苦しみながらやっている」といった実際に交通問題を取組んでいる人々の声が出されていた。 【LRT都市サミット広島2009 サミット宣言(抜粋)より】 1.活力と魅力のある都市づくりに向けて、路面電車のLRT化によるまちづくりを推進します。 具体的には (1)人にやさしい交通手段として路面電車を推奨し、LRT化によりバリアフリーを推進します。 (2)路面電車が都市景観と調和できるような配慮と、観光振興に活用できるような取組を進めます。 (3)路面電車が街のシンボルとして認知され、次世代に引き継げるよう、市民と協同して、路面電車に愛着をもってもらえる様々な取組を行います。 2.都市内交通分野での地球温暖化対策のために、環境にやさしい交通手段である路面電車のLRT化を進め、公共交通を中心とした社会の実現を目指します。 2009.12.9 文・写真 高橋 |
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☆カーシェア・自転車・カーフリーデーの部会で、「カーシェアリング」問題が多いに論じられる。 ― 自動車利用削減の道、車を賢く使うソフトランディング方法 |
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「即刻、(カーシェアリグの)活動は休止してください」という趣旨の抗議メールが送られて来たと谷口綾子筑波大学大学院講師(都市研究室)はいう。2009年7月より8ヶ月間、カーシェアリングシステム「カーシェアつくば」を導入し、4台の車を利用して筑波大学学生約1万2千人、教職員約4千人を対象にした行われた。学内に6,000台の駐車場があり、教職員・学生の自動車保有率が高い。そんな特徴の中31名の会員などの行動パター分析をして、その結果を同講師は発表した。(詳細は「カーシェアリング普及協会のHPより「つくば市におけるカーシェアリング導入可能性に関する研究」(PDF参照)) 部会の座長・藤井聡・京都大学院教授(カーシェアリング普及協会代表)は「カーシェアリングは自動車削減に効果的で、意識決定のプロセスにおいて合理的な判断に基づいた車の利用だ。車を持っていると、使わなければ損と考えてしまう。大幅に自動車利用距離が削減でき、渋滞緩和になる。物流コストも下げられる。地域で買物をするようになる。車を賢く使う、自動車利用削減のソフトランディング的な方法だと確信している」と力説した。 「京都府におけるカーシェアリングの普及に関する事例報告」について、京都府建設交通部交通課の中尾謙二さんが発表。 事業期間は平成21年9月28日〜平成22年3月26日。三菱i-MiEV 軽電気自動車(=右写真=)2台を利用したもので、府の職員が平日利用し、周辺住民が休日利用するなど「トラブル一つなく、誠にうまくシャアーできている」と語っている。 (概要は京都府ホームページ「電気自動車による市民・事業者とのカーシェアリング事業について 〜京都市役所の率先実行〜参照) 事例として、日本最北の温泉街『豊富温泉』に全国初となる温泉地のカーシェアリグ事業が紹介された。(詳細は平成21年度内閣府「地方の元気な再生事業」参照)運営するウィンド・カーは「もうかりません。赤字になります」という本音を漏らしている。(同社ホームページのカーシェアリング参照) その他、実際にカーシェアリングを運営しているオリックス自動車の高山光正氏が「エーシェアリングと公共交通との連携をめざして」と題して発表した。(オリックス自動車梶@カーシェアリング事業の最新動向 〜環境負荷の小さな地域作りをめざしして〜PDF参照 同社の事業についてはそのホームページの「カーシェアリング?」に次のように紹介されている。「クルマにかかる保険料や税金、車検などの維持費をみんなで分担し、それぞれの利用時間に応じて利用料を負担していただくため、一人あたりの費用負担は大幅に削減されます。カーシェアリングが普及すると、社会全体のクルマの台数が減り、省エネやCO2(二酸化炭素)の排出削減、渋滞の緩和などにつながります。お財布にも環境にもやさしい、賢いクルマの使い方です」。 |
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☆カーシェアリング、日本と欧米の違い ― カーシェアリングが地球を救う 環境保護としてのニュービジネス ― 村上敦氏著の洋泉社発行著書のタイトルより |
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左写真は、国土交通省の自動車交通ホームページから引用したものだ。 国土交通省の「21世紀における交通政策の基本方向」のコラムの中で「欧米で進む新しい自動車利用の形態〜カーシェアリング〜」の中で次のように記している。 「都市部での車の所有の新しいあり方として、車を複数人で共同利用するシステムである「カーシェアリング」という手法が、ドイツやオランダ等で普及してきている。 ドイツの代表的な事例でそのシステムを見てみると、カーシェアリングの車は市内に点在する各ステーションに配備されており、24時間申し込みが可能となっている。利用者は、予約センターに車の予約を行い、ステーションまで徒歩か自転車で車を取りに行く。利用料金の精算は、車から無線でセンターに送られてくる利用情報に基づき、定期的にまとめて行われる。 利用料金は個人が乗用車を保有する場合と比較すると低廉であることから、マイカーを「共有」することに対する理解が深まれば、駐車場スペースの確保が困難であり、マイカーを使用する利用者が相当数存在する大都市部においてはシステムが普及することも考えられる。地域全体で取り組めば、路上駐車の減少、道路渋滞の緩和、CO2排出量の削減等の効果が期待され、これからの都市圏における交通システム、マイカー使用のあり方を考えていく場合に一つの示唆を与えるものである。 我が国でも、神奈川県海老名市、横浜市や愛知県豊田市などで相次いで自治体や自動車会社等が主体となった電気自動車やハイブリットカーの共同利用実験が実施されている。また、マンションディベロッパーとレンタカー業者とが提携してマンション住民がレンタカーを共同利用するシステムが採用されてきており、今後、新たな自動車利用の形態への取り組みが進んでいくと考えられる」。 村上敦著「カーシェアリングが地球を救う」には次のように記されている。 「すでにヨーロッパやアメリカでは、カーシェアリングを行うことにより環境に対する付加が大幅に抑制されることが証明されている」。 「通常ドイツの小さな自治体では役所に役所の建物管理人が公用車の管理維持も受け持ち、受付の事務員が(カーシェアリングの)予約などの手配を行っている。自治体がカーシェアリングに参加すれば、車の管理や予約をカーシェアリング組織に丸投げすることができる。車を使用したい職員は、総務課ではなく直接カーシェアリング協会で予約することができ、自治体や企業内での合理化が促進される」 「すでにヨーロッパにおいては、ほとんどの都市で、そして地域でカーシェアリングが利用できる。カーシェアリングの筆頭であるスイスにおいては5万8千人を越えるカーシェアリング協会の会員がすでに1,700台の車の性能を共有している(2003年末の時点)} (注:1997年にスイス政府の奨励でカーシェアリング組織はひとつの協会に統一された。そのモビリィティ・カーシェアリングのホームページによると、1,150のステーションに2,250台の車が用意されている) 一方、日本においては「(「道路運送法」と「道路運送法施行規則」によって)これまでにこの法規が適用され、カーシェアリングとして協同使用が許可された事例は存在しない」。 例えば、あなたがこのシステムはいいと確信し、NPO法人などを立上げ事業展開をしようとしても、前例がなく許可されない。このようにカーシェアリングはレンタカーの延長ではないのに、国土交通省はレンタカーとしてみなしている。それで、国土省はその有効性を認めながら、やるのなら構造改革特区制度を利用してやりなさいという趣旨の通達を平成16年に出している。国土交通省「環境にやさしいレンタカー型カーシェアリング特区制度の創設について」参照。しかも、国土交通省環境行動計画(平成16年6月)の第ニ章 新たなる施策展開「地球温暖化問題への対応」に{レンタカー型カーシェアリング(自動車の共同利用)の促進、【特区における特例措置としてレンタカーの許可基準の一部を緩和する通達を平成16年度早期に発出】」と かかげている。 スイスの統一カーシェアリング組織、モビリィティ・カーシェアリングのホームぺージには次のように記されている。 「Life these days is all about mobility and flexibility. Of course, that doesn't mean you need to have a car of your own. CarSharing lets you use a car round-the-clock on a self-service basis with all its benefits, but without the financial disadvantages.Experience the intelligent way of driving. 今日の生活は機動性と柔軟性が第一だ。もちろん自分の車を持つことではない。カーシェアリングによって、その恩恵をセルフサービスのもとで24時間利用できる。経済的にも損なうことがない。知的なドライブ方法を体験」 カーシェアリングは欧米では環境保護としてのニュービジネスとして成長している。次は先進国日本の番だ。 文責 高橋
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