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コミュニティバスシリーズ 第11段
採算の壁への挑戦
有馬・東有馬地区コミュニティバス運行実験
■ 実現可能性があるから走らせよう

 去る2011年1月23日から2月17日(土日祭日運休)まで、川崎市宮前区有馬・東有馬地区にてコミュニティバス運行実験が行われた。運行実験の実施については「地元でも意見が割れました。実現可能性があるから走らせようという声で実現しました」と関係者はいう。

■ 交通不便地区解消に向けての願い

 東有馬・東有馬地区は交通不便地区のひとつ。同地区には古くからの市営団地があり、高齢者の比率が高くなってきた。保健所、図書館、市民館などのある宮前区役所エリアに向かうには、鷺沼駅経由しかない。また、団地や住宅地からバス停に向かう急坂道が多い。そうした急坂では学生も自転車を降りて押す姿が見られる。
 2005年1月、そうした状態を脱したいという願いで、有馬・東有馬地区コミュニティバス導入協議会(会長 福田煕さん)が発足した。

■ ハードな目標1日240人、1便30人

 運行実験実施主体は、有馬・東有馬地区コミュニティバス導入協議会。それを川崎市まちづくり局交通政策室が支援している。今回で同地区では2回目の運行実験。2009年1月と同じ路線延長8.8kmで車両も同じ中型バス(2.3×9m、52名乗り)で行われ、川崎市バスと東急バスが2週交代で担当した。

 一日8便。東急田園都市線宮前平駅から宮前平駅を40分で循環し、宮前平駅から宮前区役所まで4分で運行する。朝7時台から運行し、通勤や通学にも利用できるよう計画された。採算性向上のため、バスは1台で、前回とは異なり土・日休業。運行時間は始発を1時間早め、7時から17時。運賃200円、高齢者100円。実質1時間に1本。パスモやスイカは利用可能だが、定期券や高齢者フリーパスは使えない。

 「時間延長も希望したが、朝のみの対応しかできなかった。前回に比べて、地元希望のルートが大幅に短縮された。今回は前回と同じルートで、更に運行間隔など悪条件になった」。
 
 前回2009年3月に「運行実験を行いましたが、事業採算面で大きな課題がありました。今回は、運行計画(運行時間帯や運行本数など)を見直して再度の運行実験を行うものです」(協議会のパンフレットより)。川崎市は運賃が運営コストに見合わないと、本格運行をしない方針だ。そのため、1日あたり平均240人という乗車の目標を掲げた。つまり、1便に30人で、52乗りで64%の乗車率となる。

■ 採算の壁への挑戦
 「1日、多いときで100人から120人、少ないときで80名から90名」とバスに添乗していた調査員に聞いた。調査員はこのコミニティバスの乗車を調べるためコンサルタント会社から派遣されていた。逐次乗客数を携帯メールにて通知していた。
 朝の便の通学客はほとんどなく、10時台のお年寄りの乗車が1番多かったそうだ。

 最終日の前日7時22分のバスに乗車の父親は幼児を連れて乗り込んできた。「今回、初めて乗ってみました。鷺沼駅行きのバス停まで子ども連れで7~8分かかります。しかも車の渋滞で、いつ来るか分りません。(コミニティバスのルートは)時間通りに来るので、うれしいです」。

 また、女性客は「宮前区役所に用事があって行くのに便利です」と語っていた。

 「運行実験を通じ、皆さまのご意見を伺いながら、この地域にふさわしいコミュニティバスの運行を目指して取り組んでまいります。今度とも皆さんのご理解とご協力をお願いします」という「有馬・東有馬地区コミュニティバス導入協議会」の願いは、採算の壁への挑戦につながった。
                                                         2012年2月   (文責:高橋)
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↑ タウンニュース宮前版 2011年11月11日号より引用
ル ー ト 図 (出展:川崎市まちづくり局報道資料)
☆関係サイト
●「有馬・東有馬コミュニティバス 1日8循環で運行実験 23日から 区役所・宮前平駅へのアクセス向上期待
  タウンニュース 2012年1月20日号
有馬・東有馬地区コミュニティバス2回目の運行実験へ 採算性確保めざし、ダイヤなど見直し
  タウンニュース宮前版 2011年11月11日号
平成23年度 宮前区有馬・東有馬地区の運行実験 ・・・・・川崎市まちづくり局のホームページ
 「宮前区有馬・東有馬地区においては「有馬・東有馬コミュニティバス導入協議会」(会長 福田熙)によりコミュニティバスの導入に向けた取組が進められております。平成21年3月に実施した運行実験の結果を踏まえ、採算性の確保等を目指し、運行計画の見直しを行ってきましたが、この度、改善計画案がまとまり、平成24年1月23日(月)から2月17日(金)までの4週間、交通事業者による運行実験を実施することになりました。
 どなたでも御利用いただけますので、コミュニティバス実現に向け1人でも多くの御利用をお願いいたします」。
【有馬・東有馬コミュニティバス運行実験】宮前区役所(→循環)宮前平駅 You tube H2739Loveさんの作品より 
「こんなルートを走っているのですね。といっても、バス通り以外は­分かりませんが・・・H2739さんもいっているように確かに坂­道が多いですよね。もし実用化されればなにかと行くことがある区­役所、そして宮前平乗換で溝の口や渋谷に行くのも楽になるでしょうね。」You tubeのコメントより 
 
東有馬・有馬コミュニティバス3月1日、運行実験スタート地元付近の願い 交通不便地域解消に向け
 タウンニュース宮前版 2009年2月27日号 第1回目の報道
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