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自転車が熱い その5
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 悲 し き 放 置 自 転 車 に 光
自転車はベトナムでは宝物 !
― 放置自転車を贈る、市民活動をレポート ―
ブログにて紹介中、ご意見やご感想をお待ちしております。
■毎年100万台廃棄される放置自転車
  川崎市では処理に年間1億5千万

 内閣府の2006年の「駅周辺における放置自転車等の実態調査の集計結果(PDFファイル)」によると、全国の放置自転車台数は毎日約33万台(晴天概ね10時〜11時)。駐車可能台数は約437万7千台の7%だ。
 同年の撤去された自転車総数は約260万6千台あり、その中の廃棄処分されたものは約45%約116万9千台あるという結果が集計されている。
  一方、川崎においては市建設局自転車対策室によると、2008年度の放置自転車撤去台数は7万1271台。このうち持主に返還されたのは3万6095台と半分。残りは市が税金を注入して処分しており、2008年度決算で約1億5100万円が使われた(=2009年10月18日付神奈川新聞「撤去自転車に“被害届”ストップ!返還率アップへ市と警察がタッグ/川崎」より)。(注:この数字からすると3万2206台が返還されており、1台の撤去保管料が2,500円であるから、収入は8,794万円となる)
 財団法人自転車産業振興会の調査によると、「ママチャリ」と称されるシティ車の販売価格帯は、1万円が台が26%、2万円台が28%、3万円台が26%と3万円まてで79%を占めている。安価が放置の一因となっているようだ。また、それが2009年度5,273件(川崎市内)という自転車盗につながる(川崎市中刑法犯認知件数(過去8年間の推移PDF版参照、「犯罪のないまちづくり」ホームページより)
 この悲しき放置自転車に光りを与えているグループがいる。
 
■ 生まれ変る放置自転車
 
 「今回で6回目。YAHOOボランティアでこの活動を探し出して、藤沢市から毎回参加しています」と語るのは、26歳の学校の先生。「学生時代から自転車が好きで、自前の自転車工具を持参している」。
 去る2010年3月13日、川崎市川崎区の塩浜の自転車保管所に70名のボランティアが集まった。日本ベトナム友好協会川崎市支部の呼びかけによる。
 同支部は市から提供された放置自転車を点検・整備し、川崎港と姉妹港のベトナム・ダナン市などで、10キロ以上の遠距離通学している子どもたちに贈る活動を展開している。2003年11月から16回にわたり、現地の小中学生に計4,474台を贈っている。
 初めにパンク・ブレーキの効き具合・故障がないかを点検し、不具合なものは外し、簡単に修理できるもののみ別に修理する。ベダルやカゴを取り外し、ハンドルを90度曲げてるという手順で積み込み作業を行う。さび付いてカゴを外すのに一苦労する自転車もあれば、「自分の家に持ち帰りたいくらいだ」と参加者に評される位に新品同様なものもあった。そして、1台1台に「川崎市提供自転車、ダナン・ダァンナムのともだちへ」と日本語とベトナム語で書かれたシール=右写真=を張り自分の名前を書いて、点検・清掃すれば完成だ。中には実際に不具合を確認のため実際に試乗して確認する人の姿も見られた。
 この日、2コンテナ分、620台を港に運んだ=写真。3月25日に川崎港を出港し、4月7日ダナン港に到着した。
 川崎市では平成17年3月31日局長決裁で「放置自転車海外提供指針(PDF)」が作られており、この日も2名の職員が協力していた。
 「ベトナムでは自転車を宝物のように大事にして使っている」と宮原春雄支部長(昭和18年生)。「ベトナムには10〜15キロ歩いて通学する子どもも多い。自転車は国家公務員の月給と同じくらい高価だ」。
 また、支部長はボランティア参加者へ手紙の中で、「私がダナン人民委員会(市役所)の招待で(2010年)3月27日から28日ダナンに行ってきました。自転車をもらった子供たちの家庭を訪問するとどこへいっても大歓迎されました。これからも、続けて送らなければとの思いを強くしてきました」と報告している。

 「例えば、安さに魅力を感じてある商品を買ったとします。でももしその裏で、その安さを実現すために環境破壊や不当な労働条件が押し付けられていたとしたら、私たちはそういうやり方も“認めた”ことになるのです。つまり安さだけを判断基準にすることは、その安さによって生じる副作用を固定化し、問題をより大きくし、結局は地球を限界に近づけることに加担することになるのです」。 
                足立直樹著 『2025年、あなたの欲望が地球を滅ぼす』」より

                              2010.3      文責・写真: 高橋
☆特殊で安価な「ママチャリ」自転車事情が放置自転車問題を引き起こす!?
 「自転車がエコなのはクルマの代用になるからエコなんでですよね」「ママチャリ = エコ」ではありえないんです」と疋田智さんは「自転車スイスイ」の講演会で述べている。
 そのママチャリ誕生は日本の交通行政から生まれたと疋田さんは解説している。すななわち、「自転車は指定歩道(自転車歩行者道)であれば通行してもよい」という道路交通法の改定がなされた1978年に、世界に類を見ない「ママチャリ」が誕生している。
 右写真のように放置自転車のほとんどがカゴ付ママチャリだ。「日本の中で98%を占めるまでになっている」 この自転車をベトナムに送る作業に一番苦労するのがカゴはずしだった。
 ママチャリは日本と北朝鮮にしか存在しないと疋田さんはいう。
 「自転車が歩道を通ってよい国は一つもない。日本だけが自転車を歩道に上げちゃたんです」「北朝鮮にはあるというのは日本のゴミが行っているだけのは話」
 ママチャリは歩道専用車として1978年以降誕生。重心が低く、足が地面にピッタリ着く。ゆっくり走っても倒れない、ゆっくり走る分にはすごく向く。歩道には歩行者が一杯いるから、すぐに止まらなければならいためにゆっくり走るために作られた。長い距離は走れない。直立姿勢で体重がサドルにかかるから3〜4キロ走ると尻が痛くなっしまう。
 短距離の自転車通行は歩く方が健康に良い。「自転車はまたしても出てきますが歩行の代用になっていたら、健康的でもないんですよ。自転車は歩行よりもっと遠くに、もっとスピードを出して、そしてもっとカロリーを使わないと健康的じゃないんです」

 1978年の道路交通方の改定が全国の放置自転車の一因になっているようだ。

*ママチャリをハイパーママチャリにする方法
 疋田さんは「エコでも健康的でもない」ママチャリをハイパーママチャリにする方法を伝授している。
 1.サドルを上げる。2.タイヤに空気を 3.チェーンに油を! 「この3つを守りだけで自宅のママチャリはハイパーママチャリになります」
 当会の資料を引用していただき、こちらこそ光栄の至りです。今回初めて貴会のHPを見せていただきました。勉強になります。これからも情報の交換や意見の交流を深められればと思います。ありがとうございました。 
 自転車スイスイ  渡辺 進
☆参考サイト
放置自転車をベトナムに贈る活動を絵本に/川崎・・・2009年6月23日神奈川新聞
大半が使用可能な自転車 放置自転車をベトナムに贈る市民グループの活動から見えたもの・2010年3月19日号タウンニュース
自転車ブームの中、減少する町の自転車店/神奈川・・・2009年11月23日神奈川新聞
川崎市放置自転車等の撤去、保管及び返還等実施要綱・・・川崎市建設緑政局自転車対策室ホームページより
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