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「自転車が熱い」シリーズ 7
その1国内編その2欧州編その3米国編その4アジア編 その5放置自転車に光を その6 日本一の駐輪場の秘密
自 転 車 を 機 軸 と し た 都 市 交 通へ 
東 京 都 世田 谷 区 の 取 組 み
― 太陽光発電システム利用の電動アシスト付貸自転車システム ―

世田谷区は自転車利用を機軸とした都市交通社会を基本理念とする2011年から10年間の「世田谷区自転車等の利用に関する総合計画」を発表している。

新たな総合計画では、事業コストの低減を図りながら、「放置自転車ゼロ」をめざし、放置自転車対策を取り組む。更に「安全で快適な自転車利用の環境整備」を進め、「低炭素社会の実現に貢献する自転車利用への展開」へ方向転換している。

区の総合計画の中で、「二酸化炭素排出削減や自動車による公害を抑制・防止するため、必要以上に自動車を利用しないなど、環境に配慮した生活意識の確立が求められる」と現状を明記し、課題として「交通まちづくりを取り巻く社会的な課題に対し、環境負荷が小さく区民に身近で親しまれている自転車利用を重視した対応が必要である」と掲げている。

そうした「ひとと自転車にやさしい世田谷をめざして」の取組みの結果、駅周辺の放置自転車はピーク時約33,000台あったが、約1,400台に激減した。

 また、高校・大学生・社会人を対象とした自転車講習会を実施して、交通ルールやマナーの啓発をしている。

中でもコミュニティサイクルシステム(がやリン)は2010年度グッドデザイン賞(公共サービスシステム)に選ばれた。世田谷は東西方向の鉄道網は発展しているが、その間をつなぐ南北の交通網が弱い。この路線網の補充に考えられたのが公共の貸自転車だ。借りた自転車はどこの駐輪場でも返却できるというもの。また、「1台の自転車を複数の方が共有することにより、駅周辺への自転車の乗り入れ台数を抑制」するという。ただ区内がすべて同じではなく、同一駐輪システムでないと使えないという課題もある。現在、経堂、桜上水、桜新町の3ヶ所のみ。特に桜新町では太陽光発電システムを利用した電動アシスト付自転車の貸自転車システムが完成している。充電器は発電システム直流電気で直接充電できる。

国を挙げて自転車を促進している韓国やフランスからもここに視察に来ているそうだ。

 日本発の世界に普及できる自転車システムになるか。 
                                         2011年1月 写真・文責 高橋
このサイトは他の記事も勉強になるRT @tanigu ビジョンありき - 自転車を基軸とした都市交通へ - 東京都世田谷区の取組み|川崎の交通とまちづくりを考える会 http://bit.ly/gSNHlX
HP記事は→ http://bit.ly/gX3NG8 #cyclejp Reply ? Retweet ? Follow ? Unfollow ? Favorite

自転車タイムズ紙」に、上記のtwitter紹介とともに当会のサイトが紹介された。
☆ 紹介ブログにて、ご意見・ご感想を募集しています。
↑コミュニティサイクルシステム(がやリン)展開図
 区のおしらせ「せたがや」2010年10月8日号 「ひとと自転車にやさしい世田谷をみざして」より引用
がやリンの電動アシスト自転車と案内看板(スポーツタイプ・チャイルドシート付貸自転車・幼児用ヘルメットもある)
桜新町で借りて経堂や桜上水へ返却することもできる。
1回300円(12時間)、保証金3,500円(返却時返金)
自転車システム 桜新町レンタサイクルポート
↑ 田園都市線三軒茶屋の中央レンタルサイクルポート
☆関連サイト
世田谷のレンタサイクルについて
世田谷の放置自転車対策
世田谷区自転車条例(抜粋)(ワード)
民営自転車等駐車場育成補助金交付要綱・・・平置式の自転車等駐車場にあっては500万円、立体自走式及び立体機械式の自転車等駐車場にあっては1,000万円を限度とし。建設費の3分の1までを助成している。  
我が国の自転車共同利用・・・コミュニティバイクブログのリンク集参照・
☆ 自治体の施策 ― 放置自転車対策から利用促進へ

米国を始めヨーロッパ諸国は国レベルで自転車促進策を立てている。例えば、オランダの場合、2010年までに1986年に比較して、自転車利用を30%増加、鉄道利用を15%増加するなど、具体的な数字を挙げている。米国では「自転車単独に(年)500億円以上の連邦予算を使っている」。これは米国の医療予算を削減するためで、車の利用から自転車利用を促進することで生活習慣病の原因となる運動不足解消するためだという。都市においてはロンドンでは2010年までに80%増加、2020年には200%増加、ロンドンシティでは2010年まで自転車の通勤者3倍、トリップ数2倍と高い目標を掲げた。市は20055.5億円の自転車予算を2009年度に一挙に160億円に引き上げた。お隣の韓国でも、李大統領は「炭素を排出しない自転車を主要交通手段として復活させることが、われわれが進むべき道」とし、自転車利用の活性化について「街で安全かつ便利に自転車に乗れるようにするためには、道路を再整備しなければいけない」と演説している。更に、韓国のグリーン産業政策として、@風力、A太陽光、B自転車を掲げ、自転車利用を促進している。しかし、日本は国レベルの目標値はない。

古倉宗治氏は平成221015日発行の自著「成功する自転車まちづくり 〜政策と計画のポイント〜」に次のように記している。「社会問題化した(放置自転車の)課題のために、わが国の自転車政策は、長い間その対応に追われて、本格的な自転車推進策に変遷することができなかった面も見逃せない。市自体の自転車施策は2002年の調査では、圧倒的に放置対策が中心であり、次に交通安全であり、交通手段とし自転車を活用することを第一の重点に置いているのは、わずかであった。

しかし、このような中でも、自転車施策の方向性としては、『自転車の利用促進を図る』および『どちらかというと自転車の利用促進を図る』とするものの合計が、その反対を大幅に上回り、75%となっている。すなわち、放置問題などの障害に対する対処をしながらも、利用促進策の方向を持ちたいという自転車施策への自治体の意向は強い」

 以上のように、国民の健康、地球の環境、ガソリンの消費、買い物、まちの景観づくりなどの改善に深い関係がある自転車政策を 、川崎市は国と協力しながら放置自転車対策重視から自転車利用促進へと向かう必要があろう。                   (高橋)
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