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コミバスシリーズ: 走れ山ゆり号市民の足を求めて 小平市民の取組先進事例を探ろうムーバスの思想コミバス地域を作る
      市 民 の 足 を 求 め て
  ― 東 京 都 小 平 市 民 の 取 組 ―
ぶるべー号のシンボルマークは市内の武蔵野美術大学の協力を得て制作したもの。小平市は国内ブルーペリー発祥の地である。
☆「小平市コミバス&タクシーの取組みを知ろう! 先進事例をチェック」のブログにて、コミバスの環境問題についても触れている。
同ブログにご感想やご意見をお書きください。また、来る2010年8月19日、同市視察会を予定しています。(PDF参照
●あると心強い市民の足、
  ―自家用車に頼らない生活に向けて―

 「今日は駅まで乗車。月2、3度とあまり乗らないけれども、バスがあると心強いですわ」
 「自転車に乗っていてケガをしたら、息子に『タクシーに乗りなさい』と自転車を捨てられてしまったの。病院まで乗れるようになって助かっています。タクシーは嫌い。お金がかかるから」
 「今回が初めて。今まで夫を車椅子で病院に運んでいました。杖を突かせて、夫をバスに載せてみました」
 こんなお年寄りの女性達の話を聞いた。
 ここ18万都市東京都小平市では、2008年コミニティバス“にじバス”を皮切りに、昨年2009年9月からワンボックス車両によるコミュニティタクシー“ぶるべー号”(=写真=)を運行している。2路線だけでなく、もっと増やして欲しいの声に、今年2010年9月から1年間のコミニティタクシーの実証実験運行中だ。

 ● 「にじバス」は市民の虹のかけはしになるか

  小平市は東京都の多摩地域にある市で、 都心からは26キロのところに位置し、面積は20.46平方キロメートル。江戸時代の新田開発により集落が形成されてきた。市内には、西武鉄道の新宿線、拝島線、国分寺線、多摩湖線のほかJR武蔵野線が走っている。鉄道が7つ、市境も含めると9駅がある。

 「20分歩けばどこかの駅に出られる、と市はいつも言います。でも東京都の『いきいき事業』の不便地域指定とは『バス停留所から200メートル、鉄道駅から500メートル』とすると、小平市の65丁町のうち、35丁町が該当します。『本当に交通不便地域』の多いです。これからますます高齢化が進んでいく社会で、市民が元気で生活できるためには交通権の確保は欠かせない市民サービスです。鉄道駅、バス停、買い物、病院、公民館、図書館などコミュニティ形成の場所などへのアクセスできる公共交通の将来ビジョンを描いて、計画に向かっての方策を繰り広げることが出来れば、『市民の虹のかけはし』にもなれるかと夢見ています」。『小平市民財政白書』

● 市民の声から運行実現

 このコミバス“にじバス”(=右写真=)運行までの道のりは簡単ではなかった。そこには小平市民が自分たちの足を求めるという意思があった。それが市を動かした。

 1986年、小平市プロジェクトチーム設置規定に基づく「小平市バス網対策研究会」が発足し、翌年9月に提出した報告書に「実現は極めて困難」と断言した。

 1997年12月、「小平に環境バスを走らせる会」が結成。そんな中、1990年代後半、私鉄の路線バスが突然の廃止。会は賛同著名6,500筆を集め、市議会への請願運動を始める。2000年に入って市の「第2次小平市バス網対策研究会」が発足、10か月の調査の結果が150頁の報告書にまとめられた。「これを受けて、2001年5月、『小平市コミュニティバス研究会』(会長:岡並木氏。委員12名のうち3名が市民公募委員)が発足した。研究会は毎回多数の市民が傍聴する中で前向きの討議が進められ、後日のコミニティバス(コミバス)実現に大きく貢献した」という(『クルマ社会を問い直す第60号(2010年6月)』の渡辺進氏の投稿「小平市における公共交通不便地域解消運動』より)
 2004年1月、市のコミバス1号の試験運行が始まった。(3年後に本格運行)しかし、賑やかなところしか通らない。そこで2004年に市内4地域は2万5千筆の著名を集めて市議会に請願を出した。「お金がない」「NPOを立ち上げれば市はオブザーバーとして経費を補助する」「運動の盛り上がった地域から対処していく」といった市側の声があった。しかし、市民の力によって、市によるコミュニティバスやタクシーの運行につながった。

 ●地域の担い手になるコミニティタクシーの運転手

 冒頭で紹介した初乗りの老夫婦が降りる時(=左写真=)、運転手がすぐ降りて手助けをした。
 「あの夫婦はいつも車椅子でこの公園の前で福祉バスを待っていたのですよ」と運転手さん。
 「ああ、あの方はこの時間にいつも乗られるのですよ」と乗車前のお客さまを紹介する。
 本格運行のぶるべりー号は3人体制で、専属は一人。実証実験車は2人体制で、専属は一人、一日2回の休憩時に交代要員がいる。ともに平日のみの運行だ。予備車両(セダン型タクシーなど)を出せる体制が出来ている。運転手さんはもともと地元のタクシー会社に所属だ。
 「ぶるベリー号は市民の方々に喜ばれています」と誇らしげに運転手さんは語っていた。                  2010.8.1 文責・写真: 高橋
 実証実験運行中の小川・栄地区のコミタク。「のりば」は市職員の手作り。運賃大人150円、子ども80円。300円の一日券もある。車内にはルートのバス停付近の個人宅のオープンガーデン3ヶ所を写真入りで紹介している。
 
 にじバスのルート図。小平駅南口午前7時から午後7時まで、駅からは毎時00、20、40分の定時20分間隔の定期運行。料金大人150円、子ども80円。
 バスと同じオレンジ色を基調としたバス停が、約200メートル間隔で40箇所(迂回路3本含む)に立っています。午前8時半までの5便は迂回路を通る。
 ぶるぺー号のルートマップ。小川駅入口から午前8時半から午後5時半までの一日16便。大人150円、子ども80円。運転手を除く乗客9名。
参考資料として
2006年度小平市コミュニティタクシー運行調査(PDF)市のホームページより
2008年コミュニティバス「にじバス」フォローアップ調査(PDF全123頁)
小平市コミバスのホームページ
☆ 住民全員が回数券を購入 ―青森県鯵ヶ沢のこころみ

鰺ケ沢町 「全住民参加」

 暖かな朝となった昨年12月初め、小さなバスが青森県鰺ケ沢町(あじがさわまち)の山あいの深谷集落を出発した。「今日はお客が少ないな」。乗り込んだ滝吉和俊(たきよし・かずとし)・深谷町会長(64)は表情を曇らせた。日本海に面した町中心部まで約15キロ。サルが出没し、車が擦れ違えない道が続く。
 「診療科目のせいなんでしょうかね。金曜日なら町立病院に通うお年寄りが何人か乗って、もっとにぎやかなんですけれど」。運転手の木村輝光(きむら・てるみつ)さん(56)は話した。
 
 ▽命綱の路線
 
 この深谷線を支えるのは、全国的にも珍しい「住民参加方式」だ。地区の三つの集落が町とバス会社「弘南バス」(青森県弘前市)と協議会をつくり、運行方式を決定。代わりに、3集落の全60世帯がそろって、毎月2千円分の回数券を購入する。乗客数にかかわらず、弘南バスに一定の収入が入る仕組みだ。
 「もちろん、ほとんどバスに乗らない人もいる。でも、この路線は地区の命綱。回数券の購入に反対する家はない」。滝吉さんは力を込める。
 かつて、地区にはバス路線がなかった。最寄りのバス停まで8キロ歩かねばならない人もいた。住民らは採算が取れないと渋るバス会社と話し合い、1993年、現在の方式を導入することで悲願の路線開設にこぎつけた。
 しかし、運行環境は厳しさを増している。当初は上り下り合わせて1日10便が走り、回数券の購入額は月千円だった。しかし、少子化と人口減少で利用者が目減りし、2005年には世帯の負担を倍に増やす一方、便数は4便に減らした。
 町は09年度、深谷線を含む町内のバス路線の維持のために約2千万円を支出した。だが、町の財政指標は県内最下位クラスとあって「いつまで支えられるか」(鰺ケ沢町政策推進課)と、ため息が漏れる。
 
 ▽活性化にも挑む
 
 ただ、住民参加方式のバスは貴重な副産物も生んだ。弘前大学の山下祐介(やました・ゆうすけ)准教授(40)の呼び掛けで、学生と町、沿線3集落の代表らが07年、深谷地区活性化委員会を設立。ブナ林を活用した観光客との交流事業や、豊富なキノコ・山菜など山の幸の販売を模索する。
 山下准教授は「その都度、利用に応じて走るデマンド型の交通機関と異なり、路線バスは独特の安心感をもたらす」と指摘。「深谷では路線維持を考える枠組みが、地区の将来そのものを考える営みにつながった」と評価する。町の協力も得て、集落外へ移住した人々の郷里への思いと地元の活動を結ぼうと、計画づくりが始まろうとしている。
(東奥日報社、櫛引素夫氏の記事、地域ニュース「足を守る」から引用

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